5/10/2022

2年ぶりのタイ その10 4月22日

  朝食の時、タッサニーさんはあまり眠れなかったと言っていました。なぜなら、一晩中子ども達がトイレへ起きる音がうるさかったからです。慣れない海鮮をたらふく食べたせいで、子ども達のお腹が悲鳴をあげたのでしょう。きっとこれもいい思い出です。

 今日、僕はバンコクへ戻ります。ゲン君が僕をホアヒンのバスターミナルまで送ってくれる予定になっているので、彼に時間を確認しようと探しましたがどこにも見当たりません。彼もまた腹痛に悩まされているのでしょうか。一応830出発でバス停まで送って欲しいとタッサニーさんに伝え、帰りの準備をするために自分のコテージへ戻りました。短パンからGパンに着替え、久しぶりにくつ下をはいて、サンダルをリュックにしまい、ベッドのシーツと枕カバーはきれいにたたんでベッドの上に置き、蚊帳も持ち上げておきました。「あっという間だったな。」と思いながら靴ひもを縛り、ゆっくり歩いて食堂へ戻ると子ども達が待っていてくれました。お別れの儀式のようなものが始まり、タッサニーさんが子ども達に向かって、「誰かメッセージはないの?」と言うと、数人の子が手を挙げて、一人ずつタイ語でメッセージをくれました。たった1週間で僕のタイ語力が回復するわけもなく、でも、耳ではなく心で聴こうと頑張りました。そして、最後に僕がひとこと言う番が回ってきました。ファーさんに手伝ってもらいながら覚えているタイ語や英語の単語を適当に並べ何とかスピーチをした最後に、チュー カン マイ クラップ(また会いましょう)とだけ伝えました。きっとまたすぐに会えると確信しているので…。

 最後に集合写真を撮り、ゲン君と他5名がバスターミナルまで僕を送るために同行してくれました。毎回の事なので慣れてはいるのですが、手を振りながら助手席のドアを閉めるときは、やっぱり感情が揺さぶられる気がします。車が走り出すと、何事もなかったかのように車内に冗談が飛び交います。ちょっと前なら一緒に冗談を言い合えたのに、今回ばかりは聞き役に回るしかできませんでした。タイ語で人を笑わせるようになるのにどれくらいかかるのでしょうか?

 午前9時にホアヒンバスターミナルに着くと、まずはチケット売り場でバスの空席を確認します。幸い9:30のバンコク行の席がすぐに取れました。263バーツで、約4時間の行程です。ワゴンなら2時間で160バーツです。早い・安い・危険の3拍子揃っているのがタイのワゴンの特徴です。僕はワゴンでもよかったのですが、タッサニーさんは僕をバスで帰らせるようにとゲン君たちに念を押しているみたいです。見送りに来てくれた人を30分も待たせるわけにはいけないので、「あとはひとりでできるから。」と、こちらがお見送りをしました。まあ、すぐに宿泊施設には戻らず途中で道草をして帰るのでしょう。

 今回利用したソンバットツアーのバスは、バンコクの公共バスターミナルのモーチットではなく、ソンバットツアー専用のターミナルへ行きます。ウィークエンドマーケットで有名なチャトチャック市場の北側にあるのですが、そこまで行ってしまうとその後が大変です。しかし、大型バスの場合は自由にどこでも好きなところで降りられるわけではありません。最悪、バスターミナルから最寄りの駅まで歩くことを覚悟しました。スマホのGPSで自分が現在どこにいるのかを知れるというのはとても画期的で、スマホのバッテリーが残っている限り迷子になる事はありません。GPSを頼りに最寄り駅に向かって歩けばいいだけの事です。

 ホアヒン出発から4時間半後、バスはバンコク市内に入り北上します。スマホの画面と外の景色を見比べていると、チャトチャック市場が左手に見えてきたので、「ここで降ろしてくれたらなぁ。」と思った瞬間、バスが停車しました。そして何人かの乗客が降りていくではないですか。僕もチャンスと思い慌ててバスを降りました。結局、人間は皆考える事が同じなのです。「こうだったらいいな。」とか「こんなのあるかな?」という事は大体、すでにそうなっていたり、あったりします。

 ここから友人のコンドミニアムまでは、2019年に開通したMRT(地下鉄)のブルーライン1本で行けるのです。これで慣れないタイ語を駆使して目的地にたどり着くという遊びができなくなりました。世の中が便利になればなるほど、人との関係性が希薄になっていくジレンマです。何のハプニングもなく、誰とも会話することなく、無事に友人のコンドミニアムに到着しました。

 夜、友人ら4人で晩御飯を食べに行くことになりました。おいしいイサーン料理レストランがあるとこのことで、車で向かうのですが1時間走ってもまだ車は停まる気配がありません。もうすぐ2時間になろうという頃にようやくレストランに到着しました。ちょっと晩御飯をという距離ではありません。ドンムアン空港を超えてさらに15km近くも北上した所にある台所(ครัวสะแตกแดกตับ)という名前のレストランで、すごく混んでいたので有名なのかもしれませんが、とにかく辛くて、さすが本場のイサーン料理という感じです。日本人の僕には…。

11時にコンドミニアムに戻りました。あと2泊して日本へ帰国です。

つづく

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