朝、子ども達は、あっという間に学校へ行ってしまいました。少し取り残された気分です。カサロンの家に滞在するときにいつも食事の準備をしてくれるクールさんの調子があまり良くありません。激しく咳き込んだり、喉がガラガラでうまく声が出なかったりします。少し心配なので、「僕たちの食事は自分たちで何とかするから、ゆっくり休んで。」と伝えました。幸い、カサロンの家の子ども達の食事についても、ここの女子高校生や希望の家から手伝いに来た大学生が上手に手分けして調理できますし、男性スタッフのサマーも協力して、この危機を乗り越えます。
朝食は、夕食の残りとご飯と梅干で事なきを得ました。朝食後、毎週恒例の「カサロンの家」と「希望の家」の子ども達、総勢40名分の食材の買い出しです。クッゲンの運転する車でチェンマイ市内の市場まで行きます。Iさんが、カサロンの家の敷地内に生っているパパイヤを見ながら、「ソムタムが食べたいなぁ。」とつぶやいたばかりに、ソムタムを作ることになって、その材料も買うことになりました。朝のうちに、しゃべるのも辛そうなクールにソムタム作りに必要な材料を聞き出し、メモを取りそれをもって市場を周ります。まさに「はじめてのおつかい」です。あまり僕が手助けしても面白くないので、少し離れたところから楽しむことにしました。青パパイヤやマナオ(シークアーサーの様な柑橘類)やピーナッツなどはカサロンの家にあるので、トマト・干しエビ・ヤシ砂糖・青唐辛子・ナムプラーなど足りない食材の購入が必要ですが、トマトと青唐辛子は寮でも大量に使うのでクッゲンの買い物分から少し拝借することにします。Iさんは、タイ語も書いてあるメモ用紙を店の人に見せながら着実にミッションをクリアしていきます。この間、僕の頭の中には、B.B.クイーンズの「しょげないでよBaby」がずーっと流れています。
お昼前には買い出しは終了したので、昼食をカサロンの家の近くのクゥイッティアオ(タイ風の米麺)屋さんで食べました。こういう庶民派の食堂には、ナムプラー・唐辛子入りの酢・粉末唐辛子・砂糖の計4種類の調味料がたいてい常備されていて、自分の好みの味付けにできるようになっています。僕がタイに来だした初期の頃は、「麺類に砂糖?」と思っていましたが、今では、自分の味が確立され、砂糖抜きでは物足りなさを感じるほどになってしまいました。タイ料理は本当に奥が深いです。
タッサニーさんの娘さんが今日、職場のあるチェンライからチェンマイに戻ってくることを思い出してしまいました。娘さんには、日本で購入を頼まれたものを渡すという重要な用事があったので、バイクを借りて「希望の家」へ行くことにします。タッサニーさんの娘のトゥンちゃんは、すでに希望の家に戻ってきていました。トゥンちゃんと言ってももう30歳代後半です。チェンライの大学で教授をしていますが、ここ数年は台湾で教鞭をとっていました。コロナ禍になり1年ほど前にようやくタイへ帰国することができましたが、また、7月8日から短期で台湾へ行くそうです。そんなトゥンちゃんに日本での購入を頼まれたものはポケモンのフィギュアでした。バンダイの1回300円のガシャポンのおまけで、1シリーズ4種類が第15弾まで出ているのですが、あと3シリーズ揃えばコンプリートするそうです。どんなものでも、揃え始めは気楽にスタートできますが、ある程度まで揃ってしまうとやめるにやめられなくなるのは世の常です。切手や箸袋など、世の中にはコレクターと呼ばれる人が大勢いますが、その心理をうまく利用したビジネスモデルは、今後も衰退することなく続いていくことでしょう。というわけで、1個300円のフィギュアを4個×3シリーズの計12個、金額にすると合計で3,600円とたいしたことないように思われます。しかし、ガチャガチャの恐ろしいところは、どれが出るのか分からなく、4種類すべて揃えようと思うと、確率論の話になってしまうところです。しかも、ちょっと前のシリーズはすでに廃盤になっていますので、定価での入手は確実に不可能です。結局、購入のすべてをネット通販に頼り、トータルで10,000円近くかかりました。僕にとってはムダな出費でも、トゥンちゃんにとってはとても意味のあるものです。ですので、このフィギュアに本当にそれだけの価値があるかどうかは本人にしか分からない世界なのです。宗教と同じで実態のない心の問題なので、あまりとやかく言わない事にします。 結果、トゥンちゃんは、僕にプライスレスの恩を受けたことになります。しかし、人は、受けた恩をすぐに忘れてしますので、僕は、トゥンちゃんに会うたびになるべくこの恩を忘れないようにこの話題を持ち出して、効果を最大限まで引き延ばす努力をします。そして、単純に費用対効果では測れない、しがらみという名の繋がりができ、腐れ縁となっていくのです。 怖いですねぇ。
夕方、外で夕食をという事になり、僕とIさんとトゥンちゃんとグッゲンと希望の家の女子大生の5人でドイサケットにあるピザレストランへ行きました。ドイサケットの田舎には似つかわしくない西洋風の店構えですが、客層もそれに倣ってドイサケットに暮らす年配の西洋人ばかりでした。本格的なピザをタイの田舎で食べられるのは凄いことですが、値段もそれなりなので、タイ人にとっては普段から気楽に食べにいくという感じではなさそうです。会計は、軽く1,200バーツを越えてしまいました。 怖いですねぇ。
夜のミサで、ある女の子から、「七夕」について質問されました。「なんでそんなこと知ってるの?」と聞き返すと、「今日、学校で先生から教えてもらった。」との事でした。中学生と高校生が5月から新しく通いだしたサンカムペーン学校には、日本人の先生が一人と日本語の話せるタイ人の先生二人が在籍しているらしく、最近、日本の学校ではあまりやらなくなった「七夕」について勉強したようです。明日は7月5日なので、まだ間に合います。竹は敷地内にいくらでもあるので、あとは短冊と飾りを用意すれば「七夕まつり」ができます。
つづく
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